マエストロ ディエゴ・マテウスが小澤征爾音楽塾史上初めての首席指揮者に就任!
マエストロ ディエゴ・マテウスは、小澤征爾音楽塾初めての首席指揮者として就任する運びとなりました。
今年の3月に、コロナ禍で3年ぶりに小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトXVIII J.シュトラウスII世:喜歌劇「こうもり」が待望のカムバックを果たした際、指揮を務めたマエストロ ディエゴ・マテウスが、2023年に初の小澤征爾音楽塾首席指揮者として音楽塾の舞台に戻ってきます。マエストロ マテウスは、小澤征爾塾長の親友、故クラウディオ・アバドにより紹介され、それ以来小澤塾長が手掛ける活動での音楽作りに携わってきました。2011年に初めてサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)を指揮し、その後2014年、2018年、2019年にも松本に招待され、2018年にはドイツ・グラモフォン創立120周年Special Gala Concertの舞台に小澤征爾と共に立ちました。2022年には、小澤征爾音楽塾オーケストラの指導と指揮を初めて務めています。若い音楽塾オーケストラに対する熱い姿勢が小澤塾長をはじめ、音楽塾の「先生たち」からも高く評価され、今回の就任につながりました。
マエストロ ディエゴ・マテウスは、2023年に小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXIX G.プッチーニ:歌劇『ラ・ボエーム』を、首席指揮者として指揮します。
小澤征爾塾長から 歓迎のメッセージ
「クラウディオ、君が信頼する若い優秀な指揮者はいるかい、いい人がいたら教えてくれないか?」ディエゴ・マテウスの名前を初めて聞いたのは、長年信頼してきた指揮者で盟友のクラウディオ・アバドからの僕への返答の中で、だった。
会ってみるとディエゴがなぜクラウディオにそれほど信頼されているかわかった。
ー 表裏のない真っ直ぐな性格、音楽にかける情熱、より良い音楽のためなら、自分の時間、エネルギーを惜しみなく使う、その姿勢。その気質に、僕自身も共感し、何度もサイトウ・キネン・オーケストラ (SKO)との演奏会にも呼んでいる。
今回「教育」がだいじなベースとなる塾に初めて指導/指揮者として招待した。
連日彼が稽古をつける現場を近くで見させてもらった。才能はあるけどまだ若く経験の多くない塾生たちをいかに、力を持った一つのオーケストラにまとめていくか。それも、まとめるために決しておとなしく縮こませるのではなく、いかに一人一人がソリストのように演奏させることができるか。そのためにはプロのオーケストラとのオペラ制作現場なら考えられないほどの、多くの時間とエネルギーをついやさなければならない。
ディエゴはそれらを自ら進んで汗をかきながら毎日邁進していった。オケの音が変わってゆくのがわかった。彼の教育としての音楽への姿勢に、僕自身の持っている考えの多くが重なった。初めて一人の指揮者に塾をまかせてみたいとおもった。
ディエゴは言うまでもなく、SKOのトッププレイヤーたちである「先生たち」ともうまくコミュミケーションをとり、連携した。各楽器の名手である「先生たち」とのうまい連携なしに公演の成功はありえない。「先生たち」は僕も塾に関わるときに最も大事にしていることだ。
ディエゴ・マテウスがこれから塾オケを指導指揮してくれることは僕の大きな喜びだ。
Diego, Welcome to our JUKU Orchestra Family.
We are thrilled to have you!
ディエゴ・マテウスから 今回の就任につきまして
何年も前にマエストロ小澤に招待いただき、私はサイトウ・キネン・オーケストラを初めて指揮し、そこで素晴らしい”音楽の家族”を見出し、その一員となりました。マエストロ小澤がその愛情と信頼によって、私を首席指揮者として、音楽への優れた規律と尊厳を持ち才能あふれる人々でいっぱいの小澤征爾音楽塾を導く機会を与えてくださったことを、とても光栄に思います。彼らと並んで(そして彼らと共に)音楽を作るこれから先数年は、何年にも渡る大仕事になるでしょうし、同時に芸術的そして個人的にも大きな満足へとつながるものであると確信しています。
ディエゴ・マテウス
ディエゴ・マテウス
ベネズエラのエル・システマ出身で才能を開花させている第一世代の音楽家の一人。37歳にして充実のキャリアを歩み、フェニーチェ歌劇場の首席指揮者、アバドの招きによりモーツァルト管弦楽団の首席客演指揮者、メルボルン交響楽団の首席客演指揮者を歴任。
2018年12月、東京サントリーホールでのドイツ・グラモフォン創立120周年記念スペシャル・ガラ・コンサートで小澤征爾と交代で指揮を務め、アンネ=ゾフィー・ムターの独奏でサイトウ・キネン・オーケストラを指揮。小澤征爾の招きによりサイトウ・キネン・オーケストラを指揮し、セイジ・オザワ 松本フェスティバルでも共演。
そのほか、これまでに聖チェチーリア国立音楽アカデミー管、ミラノ・スカラ座管、マーラー室内管、フランス放送フィル、スペイン国立管、BBCフィル、フィルハーモニア管、ロイヤル・フィルハーモニー管、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管、ボルサン・イスタンブール・フィル、スヴェトラーノフ記念ロシア国立響、イスラエル・フィル、ロサンゼルス・フィル、OSESPサンパウロ州立響、N響などを指揮。
オペラでは、ベルリン・ドイツ・オペラ、ベルリン国立歌劇場、バルセロナ・リセウ大劇場、フィレンツェ五月音楽祭、ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバル、トリノ王立歌劇場で仕事をしており、21年6月にはアレーナ・ディ・ヴェローナで初めて《アイーダ》を指揮して大成功を収めた。今後、パリ・オペラ座やメトロポリタン歌劇場へのデビューも予定。22年7月にはローマのカラカラ浴場でミキエレット演出によるローマ歌劇場のバーンスタイン《ミサ》も控えている。
ベネズエラではエル・システマ各オーケストラの養成やレパートリー拡大に尽力するとともに、シモン・ボリヴァル交響楽団の首席指揮者も務める。