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2024.03.09

【コラム】小澤征爾音楽塾「コジ・ファン・トゥッテ」に集結する一流の歌手たち:イタリアの新星テノール ピエトロ・アダイーニ

小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトの20回目の節目となる2024年公演は、モーツァルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」を上演します。このたび急遽フェランド役を務めることとなったイタリア出身の新星テノール ピエトロ・アダイーニについて、オペラ評論家の香原斗志氏に、その魅力と本作での期待など執筆いただきました。


小澤征爾音楽塾「コジ・ファン・トゥッテ」に集結する一流の歌手たち
─テノールの新星ピエトロ・アダイーニ

文:香原斗志(オペラ評論家)

ピエトロ・アダイーニ(テノール)
Pietro Adaìni (tenor)
[フェランド / Ferrando]

洗練されたやわらかい声を自在に操り、精度が高く音楽性があふれる歌を聴かせることができる、若手テノールのホープ。イタリアの南端に位置するシチリア島出身で、島内のシラクーザで開催された国際声楽コンクールのファイナリストになった後、2014年、ジェノヴァのカルロ・フェリーチェ劇場の助成金を得て、《ラ・ボエーム》のロドルフォなどを歌った。以来、ロッシーニやドニゼッティらによるベルカント・オペラを中心に、《リゴレット》のマントヴァ公爵や《ジャンニ・スキッキ》のリヌッチオなど、声の軽やかさが求められる若々しい役を歌って成功を収めている。2023年8月には、中部イタリアのペーザロにおけるロッシーニ・オペラ・フェスティバルで《教皇ピウス9世を讃えるカンタータ》と《ランスへの旅》に出演。みずみずしい声と磨かれたテクニックで強い印象を残した。そのなめらかで柔軟な歌唱は、モーツァルトの表現にもぴったりであるのはいうまでもない。


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