元塾生・林 采文さん(ロンドン交響楽団 コントラバス奏者)インタビュー
林 采文
Chaemun Im
ロンドン交響楽団 コントラバス奏者
[小澤征爾音楽塾オーケストラ参加歴]
2018年 小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXVI
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」、ラヴェル:歌劇「子どもと魔法」
2018年 セイジ・オザワ 松本フェスティバル
「子どものための音楽会」、「子どものためのオペラ」
─音楽塾に参加された経緯やきっかけを教えてください。
2017年、同じ大学の友人たちから小澤征爾音楽塾について初めて聞きました。彼らはすでに何度も音楽塾に参加しており、強く勧めてくれたのです。
─(音楽塾の)先生方からの教えや指導で、特に心に残っているものや影響を受けたものはありますか?
2018年、ラヴェルのオペラ「子どもと魔法」を演奏しました。このオペラは2本のオーボエの二重奏とコントラバスのソロで幕を開けます。(先生の)池松宏さんから「自分が心地よく聴こえる音ではなく、2階席の最後列まで届く音を出さなければならない」という教えを受けました。このアドバイスは今でも重要な心得として胸に刻まれ、これからも大切にしていくつもりです。
─学校でのオーケストラの授業と音楽塾で受けた指導との主な違いは何だと思いますか?
学校ではオーケストラだけでなくさまざまな授業があるため、体系的に深く学ぶことが難しいと感じていました。しかし、小澤征爾音楽塾では、細かな技術や音楽性、演奏者としての姿勢、さらには経験に裏打ちされた小さな技法まで学ぶことができました。ほかの楽器とのコミュニケーションやいかに指揮者についていくか、時には一歩引くタイミングなど、多くのことを学びました。
─音楽塾で学んだことが、その後の演奏に影響を与えたと感じますか?
小澤征爾音楽塾を修了してから2年後、私はドイツ・ミュンヘンのバイエルン放送交響楽団のアカデミー生となりました。毎週、世界屈指の音楽家や指揮者とともに幅広いレパートリーを演奏しなければならず、音楽塾での経験がなければ、この挑戦は非常に困難だったと思います。音楽塾で培った確かな基礎と経験のおかげで、成功を収めることができました。小澤征爾音楽塾は、私の音楽人生を変える「転機」だったといえるでしょう。